大学院の中にある研究所のカフェテリアで代替職員としてお手伝いするようになってもうすぐ1年が経とうとしています。
代替職員なので、いつもメインで働いている人たちの誰かが長期休暇を取ったり、病欠のときに呼ばれます。
研究所の中にあるカフェテリアなので、ここに来る人はほとんどが院生や研究者、教授さんたちなのでお客さんというよりも同僚というかんじ。いつも同じ顔ぶれです。
いろんな国からの留学生や外国人の研究者もけっこういるので時々英語が飛び交うかんじです。なので、ここにいるフランス人は外国人慣れしてるからか、私がうまく聞き取れなかったり、言い間違いや発音が悪くてもみな優しく応対してくれるのでありがたい。
いきなりフランス人社会に飛び込むのも良いのかもしれませんが、ここみたいなところからフランス人社会やフランス語に慣れていくほうが私にはいいかもと思ったりしています。
さてこのカフェテリアにいつも来る男性がいます。
名前はSylvan(シルヴァン)さん。30代前半〜半ばくらいでしょうか。
背がとても高くて190くらいはあるかも。そしてとっても細い!
以前同じバスから降りた彼の後ろをたまたま歩いていた時に、私の足より確実に細いと思える彼の足の太さに「ほっそーっ!!」とびっくりした記憶があります。
とても静かな方で注文するときの声も小さく、恥ずかしがり屋で礼儀正しい方という印象がありました。
他の人の情報によると、実はSylvanさんは日本語をちょっと話したりできるそう。でもこれまで私には絶対に日本語で話したりしなかったので「あら日本語で話しかけてくれたらいいのに」と思っていました。
やはり恥ずかしがり屋さんなんでしょうかね。
なのである時私の方から「おはようございます。」「コーヒーどうぞ」などと日本語で話しかけたら、「ありがとうございます。」と返してくれて。それからは、むこうからも遠慮がちですが挨拶をしてくれるようになりました。
さてある日の仕事中、このカフェテリアの責任者であり仕事仲間でもある超豪快マダムLaurence(ロロンス)さんが急に私のところにやってきて早口でこう言ったのです。
(彼女は話すのがとても早いのでだいたいこんなことを言っていたと私が理解したことを書きます⇓ ^^;)
「Megumi !Sylvan って知ってるわよね?さっき彼が私のところに来てこう言ったのよ!
『僕近々名前が変わるので先にお知らせしときます。』って!
最初そう言われても何のこと言ってるのか理解できなかったわよ。
でなんて名前に変わるのって彼に聞いたら、『Caroline(キャロリン)です。』って!!!
女になるのよ彼っ!
こういうのってテレビだけの世界と思ってたから、実際に身近な人が性別を変えるなんてなんか不思議な感じだわ!今は彼まだ見た目男性だけど少しづつ変わっていくのかしらね。
これからちゃんと彼のことキャロリンって呼べるかしら。間違えてシルヴァンって言いそうだわ!」
聞くところによると、この研究所では他にも性転換?性別を変えた?方がもう一人いるそうで、その方はシルヴァンさんとは逆で女性⇒男性になったパターンだそう。
もともとJuliette(ジュリエット)さんだったのが、Hugo(ユーゴー)さんになったそうです。
それはともかくSylvan さんの話に戻りますが、私もこの話を聞いたときはびっくりしました。
でも同時になんとなく納得する自分もいて。
彼とは挨拶くらいでちゃんと話したことはないので彼の気持ちはわかりませんが、きっと「性別を変える」ってすごい決心が必要なことで勇気のいることだったんじゃないかなあと想像したりします。
そしてやっぱり思うのは、「自分らしく」生きることが大切だということ。
「これは自分じゃない」「これは違う」と思いながら窮屈に生きていくよりも、
たとえ周りの人がなんと思おうとも自分の心が本当に望むことを選んで生きることが一番大切だよね~。と、そんなことをSylvanさんの話を聞いて改めて思ったところでした。
これから新たに始まる彼の「第二の人生」。思い切り楽しんでほしいなあと思ってます。
いや〜人生いろいろですね。